肩こり
パソコンやスマートフォンの普及等により、筋膜異常を原因とした肩こりの自覚症状がある日本人は多く、今や国民病のひとつと言えるでしょう。マッサージや鍼などを色々試したものの、改善せずに諦めている方も多いのではないでしょうか。
肩こりは、僧帽筋・肩甲挙筋といった首周りの筋肉や筋膜が固くなり、鈍痛や頭痛などを引き起こします。
エコーガイド下ハイドロリリース注射は、この筋膜が重積して圧痛を生じている箇所=トリガーポイントに、エコー(超音波診断装置)を用いて診断しながら、生理用食塩水・局所麻酔薬を注射することで、筋膜を剥がして伸ばし、痛みを和らげる治療法です。
また、当院では、自由診療で局所麻酔薬を用いないハイドロリリースも行っています。注射の痛みを和らげ、より安全に行う事を目的として、生理食塩水やpHを中性に調整した重炭酸リンゲルを使っています。局所麻酔薬に対するアレルギーをお持ちの方や妊娠中の方にも安心して治療を受けていただく事ができます。肩こりの治療の場合、診察、エコー、薬剤料、技術料込みで1回5,500円(税込み)です。
当院では肩こりの患者さまが多いことから治療に力を入れており、従来のトリガーポイント注射では取り切れなかった肩こりに対し、エコーガイド下ハイドロリリース(筋膜リリース)、神経のブロックとハイドロリリース、漢方薬、理学療法、物理療法を組み合わせて積極的に治療を行っています。
肩こりの治療
- 筋緊張を和らげる薬、抗炎症薬などの内服や外用剤で痛みを和らげます。
- 漢方薬
個人差はありますが、徐々に効果を発揮します。
ツムラ①葛根湯(かっこんとう)、ツムラ㉕桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)、ツムラ⑧漢方大柴胡湯(だいさいことう)などを処方いたします。 - ハイドロリリース(筋膜リリース)
僧帽筋と肩甲挙筋の間に薬液を注入することで固くなった筋膜同士がはがれ、また筋膜の間を走行する神経の癒着がリリースされ症状を緩和します。
一度である程度改善する方、広範囲の筋肉の固さのため一度では効きづらく何度も繰り返す必要のある方がいます。効果の持続は人それぞれで、ご希望の方は保険診療であれば前回の施術から1週間あければ可能です。
▽エコーガイド下 僧帽筋・肩甲挙筋間ハイドロリリースの動画です
- 肩甲上神経ブロック・リリース
肩甲骨の痛みでは、肩甲骨周囲を支配している肩甲上神経という神経をエコーガイド下にブロック・リリースします。肩甲上神経は肩甲骨にある狭い切れ込みのような部位を通っており、この場所で神経の周囲組織との癒着や圧迫が起こり肩甲骨周囲の痛みを生じることが多いです。少量の局所麻酔で痛みをとり、生理食塩水で癒着した神経周囲をはがす(リリース)することで治療を行います。この神経が通る肩甲骨の切れ込みは皮膚からかなり深い場所にあるため、従来は医師の経験と勘で注射するのが普通でしたが、エコーで神経の位置を確認できるようになり治療効果が飛躍的に向上しました。 - 理学療法
固くなった筋肉、筋膜を理学療法士の施術でほぐし、動きをスムーズにしていくことで症状を和らげます。ハイドロリリースと並行して行うと効果的です。 - 物理療法
各種リハビリ機器を用いて、患部の血行を改善し症状を和らげます。他の治療法と組み合わせて物理療法を継続すると効果的です。
肩こりの治療Q&A
- Q. ハイドロリリース(筋膜リリース)の注射は痛いですか?
- 細い針で行うこと、また手や指などと比べ注射する部位の皮膚は感覚が鋭敏ではないため、思ったより痛くないと患者さんからお声をいただいております。
Q. ハイドロリリースの効果はどれくらい持続しますか?
患者さまによって様々です。1回ですっきり治ってしまう方もいれば、数週間効果が持続するけれど徐々に戻ってしまう方もいます。長年の肩こりほど、ハイドロリリースをしていったん改善しても、痛みが再発しやすい傾向にあるようです。
Q. ハイドロリリースは何回治療を受ければ肩こりが治りますか?
1回のハイドロリリースで治ってしまう方もいますが、慢性化してから来院されるかが多いためか、「いったんよくなるんだけどまた悪くなったからやってほしい」と定期的に希望される方が多いです。保険診療の範囲で行う場合は前回の施術から1週間開ける必要があります。
- Q. ハイドロリリースに保険は効きますか?
- 保険適応です。1割負担の方で、80円です。
ほかに診察料・薬液の金額がかかります。