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肩の痛み

当院では五十肩、肩こりでお困りの方が多く、治療に力を入れております。
肩の痛み、肩こり、肩のひっかかり感、腕が上がらないなどの症状の原因は以下のような病気が考えられます。
レントゲンやエコーなどを用いて診断し、内服薬・リハビリ(理学療法)・エコー下注射・物理療法を主とした治療を行います。
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主な症状を記載してありますので、当てはまる方は疾患名をクリックしてご覧ください(例外もございます)。

肩関節周囲炎 腕を上げたり腰に手を回すと肩が痛い、夜に肩が痛い
凍結肩 腕を水平以上に上げられない
腱板断裂 腕を上げると肩が痛い、痛みは少ないが腕が上がらない
肩こり 首と肩の間(僧帽筋)が痛い
ストレートネック 長年の肩こり
石灰沈着性腱板炎 突然、肩に激痛が…
上腕骨近位部骨折 転んで肩をぶつけてから肩が痛くなり腫れている
リトルリーグショルダー(上腕骨近位骨端線離開) 野球の投手で肩が痛い小学校高学年~中学生
投球障害肩(肩関節内インピンジメント症候群) 野球、バレーボール、テニス、バドミントンなどで腕を振り下ろす動作をする高校生以降の方
鎖骨骨折 転んで肩をぶつけてから鎖骨が痛くなり腫れている
リウマチ性多発筋痛症
反復性肩関節脱臼 何度も肩が脱臼する
動揺性肩関節・肩関節不安定症 肩がゆるい、脱臼しそうな感じがある
バンカート損傷(Bankart lesion) 肩が脱臼した後しばらくしても痛い
ヒルサックス損傷(Hill-Sachs損傷) 肩が脱臼した後しばらくしても痛い
肩鎖関節脱臼
上方関節唇損傷(SLAP lesion)
肩甲上神経絞扼性障害
リウマチ性多発筋痛症
関節外モビライゼーション

Woman with back pain

 

肩関節周囲炎(五十肩・四十肩)

  • 肩の周りの腱(腱板:けんばん)が薄くなる
  • 上腕骨が肩峰(肩甲骨の一部)とぶつかる(インピンジメント)
  • 肩関節の動きをよくする袋(肩峰下滑液包)や肩関節を包む袋(関節包)が癒着(周囲とくっつくこと)する
  • 上腕二頭筋(肘を曲げる筋肉)の腱鞘炎
  • 肩の周りの筋肉や筋膜が固くなる
  • 肩の周りの神経が癒着し痛みを生じるetc・・

上記の要因が単独もしくは複合的に起こり、肩に炎症を起こし発症します。

五十肩は、昔から中高年者の生じた肩の痛みを意味し、誰でも知っているなじみ深い言葉です。
医学的には、病態が不明であったことから、そのまま病名として使われてきました。
現在、下記のようなさまざまな疾患が「五十肩」と呼ばれているものに含まれています。
・上腕二頭筋長頭腱疾患
・肩峰下滑液包炎
・腱板炎
・石灰沈着性腱板炎
・腱板断裂
・変形性肩関節症
凍結肩

肩関節周囲炎(五十肩)の症状

  • バンザイするときなどの運動時痛や結髪・結帯動作で肩が痛い
  • 夜間や早朝の痛み、患部を下にすると肩が痛い
  • 腕が上がらない

肩関節周囲炎(五十肩)の治療法

 当院では肩関節周囲炎の治療に力を入れており、詳細な診察・エコー診断により患者さまの状態に合わせて、適切な複数の治療を組み合わせて痛みと可動域の改善をはかります。

  • 内服薬
    抗炎症薬、弱オピオイド薬などの鎮痛剤内服や外用剤で痛みを改善します
  • リハビリ
    可動域訓練や筋力訓練、固くなった部位をほぐしていくマッサージ、自主練習を指導します
  • 関節内ステロイド注射
    関節包の硬さにより可動域が悪化した凍結肩や、夜間痛が強い場合には肩関節内にエコーガイド下にステロイドを注射します。
    例えばトリアムシノロン2ml+生理食塩水8mlなどです。
  • 肩峰下滑液包ヒアルロン酸注射
    エコーガイド下に正確に注射します。正確には肩峰下滑液包に注射します。
    ▽肩峰下滑液包ヒアルロン酸注射の動画です
      
  • ハイドロリリース
    腱板や肩周囲の筋肉など固さや痛みの原因となっている部分を同定し、エコーガイド下ハイドロリリースとリハビリを行い、可動域や痛みを改善します。
    制限されている肩の動きにより、烏口上腕靭帯、肩甲下筋、棘下筋、小円筋といった筋肉に有効です。
    肩周囲の痛みや固さの原因として肩甲上神経(肩甲上切痕・肩甲棘切痕)や腋窩神経(四辺形間隙)といった神経が考えられる場合には、神経の癒着をはがすハイドロリリースを行います。
  • 物理療法
    血行を改善し、痛みを和らげます

よくある質問

Q. 安静のため動かさないほうがよいですか?
A. 痛みを軽く感じる程度まで積極的に肩を動かしたほうがいいです。あまりに動かさないと、凍結肩(拘縮肩)といって難治性の五十肩に移行することがあります。重いものを持つことや極端に痛みが強い運動は行わないほうがよいです。

Q. 五十肩ではできるだけ肩を動かしたほうが良いと聞きました。具体的にはどうすればいいですか?
A. 肩を動かして激しい痛みを伴う状態でなければ、自主トレーニングは肩関節周囲炎の効果的な治療のひとつです。患者さまへお渡ししているパンフレットがございますので、痛みが許す範囲で自主トレーニングを行いましょう。当院では患者さま個々の状態に応じて、理学療法士から自主トレーニングの個別指導も行っています。一緒に治療に取り組んでいきましょう。

肩の自主トレーニング①
肩の自主トレーニング②

肩関節周囲炎のパンフレット

∧おうちでできる簡単ストレッチ 肩関節周囲炎の運動療法(科研製薬YouTube公式チャンネル)

 

腱板断裂

肩の周りには4本の腱があり腱板(けんばん)とよばれています。
腱板は転倒などの外傷や、加齢による変性で断裂することがあります。

腱板断裂の症状

  1. 運動時痛:バンザイや結帯動作で痛い
  2. 夜間や早朝の痛み患部を下にすると痛い
  3. 肩が上がらない

腱板断裂の診断

問診、身体所見の診察である程度は腱板断裂の診断は可能です。
腱板断裂は筋肉が断裂しているわけですから肩関節の運動(挙上、外転、外旋、内旋)のいずれかの筋力が低下することが多いです。※五十肩(肩関節周囲炎)や凍結肩では筋力低下は起こりません。
補助診断として
・レントゲンで肩峰の骨棘の存在(Yビューという撮影でわかりやすいです)
・エコーで腱板を観察
確定診断はMRIで行います。

腱板断裂の治療

加齢による変性断裂と、ケガによる外傷性断裂とでは治療方針が異なることがあります。

高齢者では、腱板は徐々に擦り切れてきます(変性断裂)が、多くの場合は痛みもなく挙上不能になって困ることも少ないです。そのため高齢者ではまず保存的治療が行われます。60代以下の変性断裂では早期の手術も行われます。
一方、外傷性断裂は急に挙上が不可能となってから次第に挙上可能となりますが、挙上時の痛みが残り(インピンジメント症候群)、特に大断裂(広範囲断裂)の場合は挙上できても挙上する力の弱さが残ってしまいます。そこで小~中程度の断裂であればまずリハビリを行い、上記症状で困るようなら手術を考慮します。大断裂(広範囲断裂)は時間が経つと修復不可能となるため、70代くらいまでの活動性の高い方では早期手術が望ましいとされています。断裂後、時間が経ちすぎると腱板が脂肪変性してしまい奥に引き込まれ縫合できなくなるためです。

  • 内服薬
  • リハビリ
    腱板の部分断裂の場合は、残っている腱板や周囲の筋肉の筋力訓練、可動域訓練により改善をはかります。
  • 手術
    保存療法をしっかり行っても、腕が挙がらないとき腱板縫合術を検討します。活動性の高い患者さまで、腕を上げるために最も重要な腱板(棘上筋腱)の完全断裂(大断裂、広範囲断裂)をエコーやMRIで認める場合は受傷から時間が経ちすぎると縫合が不可能となるため、早期に手術をお勧めすることがあります。
  • 関節内注射
    腱板の変性防止目的、腕を上げた時の痛みの改善目的にエコーガイド下にヒアルロン酸を注射します

よくある質問

Q. 腱板が切れると手術しないと肩は挙がりませんか?
腱板は4本あり、肩を挙げる腱はそのうち主に2本です。1本が切れてももう1本で代償されて、痛みが軽快すれば、挙がるようになることが多いです。
痛みが軽快しても肩が挙がらないときは手術が必要なこともあります。

腱板断裂のパンフレット

 

肩こり

僧帽筋・肩甲挙筋といった首周りの筋肉が固くなり、鈍痛や頭痛などを引き起こします。

肩こりの治療法

  • 漢方薬
    • 個人差はありますが、徐々に効果を発揮します
  • ハイドロリリース(筋膜リリース)
    • エコーガイド下に僧帽筋と肩甲挙筋の間に薬液を注入することで症状を緩和します。
    • 肩甲骨周囲の痛みを伴う場合は、エコーガイド下肩甲上神経ブロック・リリースを行います。

 ▽エコーガイド下 僧帽筋・肩甲挙筋間ハイドロリリースの動画です

 

  • リハビリ
    • 僧帽筋と肩甲挙筋をセラピストが徒手的にほぐすことで固くなった筋肉や筋膜の痛みを和らげます。
    • ハイドロリリースと並行して行うと効果的です。
  • 物理療法
    • 患部の血行を改善させて症状を緩和します

よくある質問

注射(ハイドロリリース・筋膜リリース)は痛いですか?
細い針で行うので、思ったより痛くないと患者さんからお声をいただいております。
保険は効きますか?
効きます。1割負担の方で、80円です。
ほかに診察料・薬液の金額がかかります。

肩こりについて詳しくはこちら

 

石灰沈着性腱板炎(石灰性腱炎)

石灰沈着性腱板炎

症状

夜間に突然生じる激烈な肩関節の疼痛で始まる事が多いです。痛みで睡眠が妨げられ、関節を動かすことが出来なくなります。
発症後1~4週、強い症状を呈する急性型、中等度の症状が1~6ヵ月続く亜急性型、運動時痛などが6ヵ月以上続く慢性型があります。

原因と病態

40~50歳代の女性に多くみられます。肩腱板内に沈着したリン酸カルシウム結晶によって急性の炎症が生じる事によって起こる肩の疼痛・運動制限です。
この石灰は、当初は濃厚なミルク状で、時がたつにつれ、練り歯磨き状、石膏(せっこう)状へと硬く変化していきます。石灰が、どんどんたまって膨らんでくると痛みが増してきます。そして、腱板から滑液包内に破れ出る時に激痛となります。

診断

痛みの発症のエピソード、圧痛の部位や動きの状態などをみて診断します。
肩関節の関節包や滑液包(肩峰下滑液包を含む)の炎症であるいわゆる五十肩(肩関節周囲炎)の症状とよく似ており、レントゲン撮影によって腱板部分に石灰沈着の所見を確認する事によって診断します。石灰沈着の位置や大きさを調べるためにエコー検査なども行います。
腱板断裂の合併の診断にMRIを行うこともあります。

治療

保存治療
急性例では、激痛を早く取るために、腱板に針を刺して沈着した石灰を破り、ミルク状の石灰を吸引する方法を行います。三角巾などで安静を計り、消炎鎮痛剤の内服、ステロイド剤と局所麻酔剤の注射などが有効です。
ほとんどの場合、保存療法で軽快しますが、亜急性型、慢性型では、石灰沈着が固くなり、時々強い痛みが再発することもあります。固い石灰が肩の運動時に周囲と接触し、炎症が消失せず痛みが続くことがあります。痛みが強く、肩の運動に支障がありますと、手術で摘出することもあります。
痛みが治まってきたら、物理療法や運動療法(拘縮予防や筋肉の強化)などのリハビリを行います。

 

上腕骨近位部骨折

3d rendered medically accurate illustration of a broken humerus

骨粗しょう症の方が転倒し肩を打つと、腕の付け根(上腕骨近位部)が骨折することがあります。
折れ方やズレの程度により、保存的治療(手術をせずに三角巾を使いながらリハビリする)か手術(金属で骨を固定する方法、上腕骨頭を金属に置き換える方法)が選択されます。
セラピストの指導の下、入念なリハビリが必要です。リハビリを十分に行っても肩の可動域が受傷前と全く同じ状態にまで回復することは少ないため、骨折しないにこしたことはありません。
痛みなどの症状がなくても、日ごろから骨粗しょう症の治療をしっかり行って骨折を予防することが重要です。
骨粗しょう症について詳しくはこちら
上腕骨近位部骨折のパンフレット

 

鎖骨骨折など

肩を強打して発症することが多い骨折です。
鎖骨骨幹部骨折、鎖骨遠位端骨折、肩鎖関節脱臼など、損傷部位により分けられます。
転位(ズレ)が少ない場合はクラビクルバンドや三角巾などで保存的治療を行うことが多いですが、スポーツ選手など早期のスポーツ復帰を求める場合などは患者さまの状況を確認の上、手術をおすすめすることもあります。その場合は適切な施設へご紹介が可能です。

 

リウマチ性多発筋痛症

 

反復性肩関節脱臼

※引用文献:都竹伸哉•宮武和馬著 スポーツ傷害診療における超音波の有用性 〜エコーを使った新しいスポーツ傷害診療〜 映像情報メディカル増刊号 超音波診断 2020BOOK

反復性肩関節脱臼と動揺性肩関節は,どちらも脱臼を繰り返す疾患であるため,しばしば混同されます。
反復性肩関節脱臼は外傷によって生じた下関節上腕靭帯の損傷が病態であり,片側性,一方向性です。
画像では,前者は Bankart 損傷とHill‒Sachs 損傷が,後者は拡張した関節腔が特徴的です。


∧左:正常肩甲骨関節窩(左が前方) 関節窩前縁はゆるやかな丸みを呈します
 右:反復性肩関節脱臼患側関節窩(右が前方) 関節窩前縁は直線化し骨欠損を示す 骨片も見えます

Sulcus sign 下方への不安定性を示す

 

動揺性肩関節(ルースショルダー loose shoulder)、肩関節不安定症

外傷歴がなく、肩を構成する骨に異常がなく、肩関節下方不安定性がある状態です。
下方のみならず前方または後方に不安定性がある状態を肩関節多方向不安定症(MDI:multi directional istability of shoulder)と呼びます。

病態

関節包の菲薄化と伸張、それに伴う肩関節容積の増大です。
非外傷性、両側性、多方向性であることが多いです。

検査

下方ストレス肩関節レントゲンで、上腕骨頭の下方変位を認めます。
肩関節MRIや関節造影では前額断像で下方関節包の拡大、水平断像で前方および後方関節包の拡大を認めます、腱板や関節唇に異常は認めないことが多いです。


∧左:通常の肩関節正面レントゲン像 異常なし
 右:下方ストレス肩関節正面レントゲン像 上腕骨頭が下方へ変位

動揺性肩関節の重度の場合は、手を下に引っ張り下げると、上腕骨と肩甲骨(肩峰)の間に溝(sulcus)ができます(Sulcus sign陽性)。

 

バンカート損傷・ヒルサックス損傷

バンカート損傷(Bankart lesion)

ヒルサックス損傷(Hill-Sachs損傷)


∧左:肩関節CT 上腕骨頭の後方にHill-Sachs損傷あり
 右:上腕骨頭3DCT Hill-Sachs損傷(矢印)は後下方のsulcus(溝)にほぼ連続している

HAGL 損傷(humeral avulsion of the gleno‒humeral ligament)
反復性肩関節脱臼において、まれに下関節上腕靱帯が上腕骨側で剥離する


∧腋窩走査 長軸像 Bankart病変 a:健側 b:患側
 患側では関節窩前壁と関節唇の間に低エコー像がみられる(矢印)
 関節唇が裂離している所見で、Bankart損傷に特徴的

∧腋窩走査 長軸像 上腕骨頭表面に低エコーの関節軟骨、その表面の線状高エコーの下関節上腕靭帯が見えます。
 Bankart病変では関節窩と下関節上腕靭帯の間に低エコー像が確認できます。関節窩辺縁に高エコー像を示す裂離骨片(骨性Bankart病変)の有無もチェックします。


∧肩関節後方走査
a:正常 中間位 b:正常 外旋位 c:脱臼整復後 中間位(肩甲上腕関節内にやや高エコーの血腫)
d:脱臼整復後 外旋位(外旋位で関節内血腫がはっきり描出、矢印はHill-Sachs病変)

∧肩後方走査 短軸像
骨頭やや上方で肩関節を内・外旋しながら骨頭輪郭の陥凹(Hill-Sachs病変)、関節内血腫をチェックします。浅いHill-Sachs病変では正常でもある溝(normal sulcus)のと比較が必要なこともあります。

※引用文献:都竹伸哉•宮武和馬著 スポーツ傷害診療における超音波の有用性 〜エコーを使った新しいスポーツ傷害診療〜 映像情報メディカル増刊号 超音波診断 2020BOOK

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