関節内ヒアルロン酸注射について
関節内ヒアルロン酸注射が適している症状、実際に期待できる効果やメリットもご紹介します。
★2021年5月より、ヒアルロン酸にジクロフェナク(消炎鎮痛薬NSAIDの一種)を化学的に結合させた、ジョイクル®(一般名ジクロフェナクエタルヒアルロン酸ナトリウム)が発売されました。
従来のヒアルロン酸の適応疾患である変形性膝関節症だけでなく、変形性股関節症にも保険適応となっております。投与間隔は4週に1回です。
※ジョイクル®使用によりアナフィラキシー症状が出現するケースがあり、当院では現在使用を見合わせております。
関節機能改善剤「ジョイクル関節注30mg」投与患者におけるショック、アナフィラキシーに関する注意喚起について(厚生労働省)
変形性膝関節症においては、通院頻度や患者さまの状態に応じて従来のヒアルロン酸注射とジョイクルを選択可能です。
こんな方におすすめ
・変形性膝関節症の方
・半月板損傷の方
・その他膝の痛みがある方
・膝の痛みがあるけれど治療を受けたことがない方
・ヒアルロン酸注射を受けたことがあるけれど、注入時の痛みがひどく、もう受けたくないと思ってる方
おすすめポイント
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- 体に負担の少ない治療
- 膝の痛みを和らげる治療法として、広く提供されているのがヒアルロン酸注射。治療時間の短さも特徴的です。
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- 軟骨の保護で痛みを緩和
- ヒアルロン酸は関節内に存在し、関節の滑らかな動きをサポートする成分。その作用からひざの痛み緩和が期待できます。
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- 炎症抑制効果
- 軟骨の保護や関節の潤滑の他、炎症を抑えるとも言われているヒアルロン酸注射。この点からも、痛みや熱感の軽減を目指します。
概要
ヒアルロン酸注射の目的、膝の痛みや関節への作用を解説いたします。
ヒアルロン酸注射とは
待ち時間なく痛みにアプローチ
体の中にもともと存在するヒアルロン酸と同じ成分の製薬を使用した治療です。粘り気や弾力性を持ったヒアルロン酸をひざ関節へ注入することで、痛みの緩和や関節の滑りが良くなるといった効果が期待できます。また、運動療法(筋トレやストレッチなど)と組み合わせて筋力維持を図り、変形性膝関節症の進行を遅らせるという治療目的も。整形外科では広く取り入れられている、一般的な保存療法のひとつです。
このヒアルロン酸注射を、当院では診察・検査後、ご希望の方にはその場で即提供しております。注射だけという短時間で完了する治療を、最小限の待ち時間で受けていただけるので、お忙しい方でも可能です。
作用と効果
関節液の成分を補給する
人体の肩やひざ、肘にある関節と関節の間にはヒアルロン酸を含む関節液があります。この関節液には2つの役割があり、1つは骨と軟骨のこすれ合いを防ぐ潤滑油の働き、もう1つは骨同士の衝撃を和らげるクッション材としての作用。しかし、外傷や年月の積み重ねで関節軟骨がすり減り、変形性膝関節症になると関節液内のヒアルロン酸が減少し、痛みの緩和やクッション剤としての機能が弱まってしまいます。そのため、関節液内の成分に近いヒアルロン酸を補給注入するという治療で、痛みの改善と軟骨の保護を行うのです。また変形性膝関節症で起こりがちな炎症を抑える効果も報告されております。
痛みの少ない正確な注射
特に変形性関節症が高度な場合は関節包に針が入りにくいことが多く、正確に関節内に注射しづらいことがあります。
また、大腿四頭筋腱など関節の外にヒアルロン酸注射液が入ると注入時の痛みが強くなります。
当院では、針の太さを必要最小限としており、できるだけ細い針を用い、痛みが最小となるよう注射を行っております。
他院で受けたヒアルロン酸注射の注入時に強い痛みがあり、もうヒアルロン酸注射をやりたくないと思われている方は、正確に膝関節内に注射するためにエコーを見ながら実施いたしますのでぜひご相談ください。
治療の流れ
変形性膝関節症の場合の、ヒアルロン酸注射の治療を受けるまでの手順など全体の流れを分かりやすくご紹介します。
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- ご来院
- 当院は予約制ではございませんので、ご都合に合わせてご来院いただけます。
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- 問診・カウンセリング
- ご来院いただき、初めての方は問診票をご記入になり受付へお返しください。
診察では、まずは膝の痛みや違和感について、発症した経緯やこれまで行ってきた治療などをお伺いします。 - 痛みの具合、これまでの治療状況や期間、痛み部位や程度などお教えください。
また、日常生活や仕事で困る動作など、具体的な症状についてもお聞かせください。
- 診察
- 膝の痛みの程度や、関節の動き具合、レントゲンによる変形の程度などを実際に細かくチェックします。これに問診の内容やエコーなどの検査結果を踏まえて、最適な治療の選定も含めヒアルロン酸注射が効果的かどうかを判断いたします。また、治療の内容や流れ、注意事項を詳しくご説明します。
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- 他の治療法をご説明
- 変形性膝関節症の治療は、ヒアルロン酸注射以外にも鎮痛薬など内服薬、外用薬、PRP療法、装具療法、運動療法、物理療法といった方法があり、いずれも治療効果が認められているものです。通常は複数の治療を組み合わせ、効果や状況を見ながら薬の種類や治療内容を変えていくことをお勧めいたしますが、薬を飲みたくないなどのご希望があればできるだけ対応いたしますのでご相談ください。ヒアルロン酸注射も含め、全て当日に受けられる治療(当日は保険診療のみ)ですのでご希望に応じて実施いたします。迷われる方は診断内容なども踏まえて再度検討いただくことも可能です。
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- 治療
- ヒアルロン酸を膝関節内に注入します。 注射自体は5分程度で終了します。
- 変形が高度な方、他院でヒアルロン酸注射を受けた時に注入時の痛みがひどくてもうやりたくないと思われている方などでは、エコーガイド下に正確に膝関節内に注射します。正確に関節内に注入されればそれほど注入時の痛みはありませんのでぜひ当院でお試しください。
膝関節以外にも、様々な部位で関節内注射、ヒアルロン酸注射を行います。
必要な場合はエコーを利用して、より正確な部位に注射できるように心がけております。
肩
「肩関節周囲炎(五十肩)」で、腕をある程度上げると肩が痛い場合に、肩峰下滑液包のわずかな隙間にヒアルロン酸を注入すると効果的です。その際、非常に狭いすき間に正確にヒアルロン酸を注入するためにエコーガイド下に行います。
中年の方で急に肩に激痛が生じる「石灰沈着性腱炎」では、エコーガイド下で急激な痛みの原因である石灰を生理食塩水注入で壊してから吸引します。
痛風
痛風がもっとも起こりやすい足の母趾MTP関節(中足骨と基節骨間)にはヒアルロン酸ではなく、ステロイド入りの注射を行います。非常に狭い関節であるため、エコーを見ながら確実に行います。