テーピング
テーピングは、整形外科では捻挫や靭帯損傷などの外傷、変形性関節症などの慢性疾患に対する保存的治療の一つの選択肢として有用です。
また、スポーツ選手の外傷や疾患においては、練習、トレーニングまたは競技の際に、制限すべき方向の関節の動きを制限しながら本来の動きを可能にする固定が必要になることがあります。このような場合にもテーピングは有効です。
当院で行っているテーピングをご紹介いたします。
足関節捻挫(前距腓靭帯損傷)用スポーツテーピング
足首の捻挫に対するテーピングで使用するテープ
・アンダーラップ ・ホワイトテープ 38mm(非伸縮テープ)
動画の内容を画像とコメントで説明していきます。
1. アンダーラップ
足首を90度にして巻きます(テープを巻いている間は90度にキープする)。
隙間がないようにできるだけ薄く巻きます。
※巻き方はぐるぐる巻きでもOK
2. アンカー(上)
アンダーラップの上の皮膚にかぶせて1本目を巻きます。
ふくらはぎの側縁とテープの始まりが平行になるように巻き始めるとテープと皮膚の間に隙間ができずに巻けます(隙間があるとテープずれの原因となります)。
1本目のアンカーに1/2重ねて2本目を巻きます。
3. アンカー(下)
足の甲側にもアンカーを1本巻きます。
4.スターアップ
1本目は、アンカーの内側から始め、内くるぶしを通り、かかとを経由して外くるぶしを通り(かかとを少し外側に引っ張り上げる)、アンカーの外側まで巻きます。
2本目は、内側から巻き、1本目のスターアップに後方に1/2ずらし、かかとで同じ部位を通り、外側では前方に1/2ずらして扇状になるように巻きます。
3本目は、内側から巻き、1本目のスターアップに前方に1/2ずらし、かかとで同じ部位を通り、外側では後方に1/2ずらして扇状になるように巻きます。
※2本目と3本目の前後は逆でもOKです。
5.ホースシュー
足の外側のアンカー(下)から内側のアンカー(下)までかかとを覆うように馬の蹄型に巻いていきます。
1本目は足の裏と並行になるように巻きます。
2本目は、1本目のホースシューよりも短くし、1本目に1/2以上重ね合わせるように巻きます。
かかとの骨の形状によって角度を調整していきます。
3本目は、2本目のホースシューよりも短くし、2本目に1/2以上重ね合わせるように巻きます。
2本目のホースシュー同様に角度を調整して巻きます。
6.フィギュアエイト
外くるぶしから巻き(足の裏と平行にテープを出します)、
足の甲を通り、内くるぶしの前から足の裏に向かいます。
足の裏を通り足の甲へ出てくる際、足の外側を少し上に持ち上げ、内くるぶしへ向かいます。
アキレス腱から外くるぶし方向へ足首を1周させることで、足首と足部で“8の字”が形成されます。
7.外側ヒールロック
外くるぶしから巻き(やや斜め上方向へテープを出します)、
内くるぶしを通り、かかとのアキレス腱の付着部へ向かいます。
45度の角度でかかとの外側を包み込むように巻き(かかとの外側にしっかりと引っ掛けるような感じでテープを巻きます)、
そのままかかと、土踏まずを通り、足の甲まで巻きます。
8.内側ヒールロック
外側ヒールロックの過程を逆に行います。
足の甲から外くるぶしの下方へ45度の角度で進入し、
かかと、かかとの内側(かかとの内側にしっかりと引っ掛けるような感じでテープを巻きます)、アキレス腱のかかとの付着部、外くるぶしを通り、すねの前面まで巻きます。
9.サーキュラー
最後に、隙間を埋めてテープずれの防止と巻いたテープの固定のために下からサーキュラーを巻きます。
足の形に合わせ、テープを巻く角度を調節し、テープと皮膚の間に隙間ができないように巻きます。
サーキュラー2本目
サーキュラーを巻く本数に決まりはありませんが、下のテープに1/2程度重ねてアンカーまで巻いていきます。
サーキュラー3本目
サーキュラー4本目
アンカー(下:つま先側)の上にもサーキュラーを巻いたら(強く閉めすぎないように注意)完成です。
足関節かんたんテーピング
足関節捻挫(前距腓靭帯損傷)を整形外科専門医で十分な外固定やリハビリテーションを含めしっかり治療してある場合や、捻挫の程度が軽度の場合は、こちらの簡単なテーピングでスポーツを行うことが可能です。
1.アンダーラップ
足首を90度にして巻きます(テープを巻いている間は90度にキープする)
隙間がないようにできるだけ薄く巻きます。
※巻き方はぐるぐる巻きでもOK
2.外側ヒールロック
外くるぶしから巻き(やや斜め上方向へテープを出します)、
内くるぶしを通り、かかとのアキレス腱付着部へ向かいます。
45度の角度でかかとの外側を包み込むように巻き(かかとの外側にしっかりと引っ掛けるような感じでテープを巻きます)、
そのままかかと、土踏まずを通り、足の甲まで巻きます。
3.内側ヒールロック
外側ヒールロックからそのまま続けて巻きます。
足の甲から外くるぶしの下方へ45度の角度で進入し、
かかと、かかとの内側(かかとの内側にしっかりと引っ掛けるような感じでテープを巻きます)、アキレス腱のかかとの付着部、外くるぶしまで巻きます。
4.フィギュアエイト
内側ヒールロックからそのまま続けて巻きます。
外くるぶしから足の裏と平行にテープを出し、
足の甲を通り、内くるぶしの前から足の裏に向かいます。
足の裏を通り足の甲へ出てくる際、足の外側を少し持ち上げ、内くるぶしへ向かいます。
内くるぶしから外くるぶしの上までテープを巻きます。
5.サーキュラー
フィギュアエイトからそのまま続けて巻きます。
すねの上方に向かって、テープが1/2程度重なるようにらせん状に巻き上げていきます。
アンダーラップの始まりまで巻いたら完成です。
親指かんたんテーピング
親指が痛いときにスポーツや仕事をする場合に有効なテーピングをご紹介いたします。
母指(親指)MP関節捻挫、母指MP関節尺側側副靭帯損傷、母指MP関節橈側側副靭帯損傷(本来は逆に巻きますがこれで十分だと思います)、母指CM関節症などで親指が痛いときにスポーツ競技や仕事で親指を使う場合に有用なかんたんなテーピングです。
使用するテープ
ホワイトテープ(非伸縮性) 幅38mm(12mmでもOK)
エラスティックテープ 幅50mm(伸縮テープ)
(手の大きさによっては25mmでもOK)
1. サポートテープ
ホワイトテープを1/3の幅に切っておきます。(12mmの場合はそのままの幅でOK)
親指を少し手のひら側に曲げてサポートテープを1本巻きます。
2. Xサポート
ホワイトテープをサポートテープにクロスをするように2本巻きます。
3. フィギュアエイト
親指の付け根から手のひら側へエラスティックテープを巻き始めます。
親指に1周テープを巻きつけます。
手のひら側へテープを巻いていきます(手首にテープをかけてしまうと手首が動かなくなります)。
手の甲側を通り、スタート地点に戻ります。
先ほどの手順をもう一度繰り返します。
親指に1周テープを巻きつけます。
手のひら側へテープを巻いていきます。
手の甲側を通り手のひらまでもしくは手の甲までテープを巻いたら完成です。
(球技などで手のひらを使う場合は手の甲まで巻いた方が取れにくいです)
完成です。